エンジニアがフリーランスとして事業を始める際に、最初に疑問を抱くのは契約形態でしょう。会社員として働く場合は、会社との雇用契約の下で働くことになります。では、フリーランスのエンジニアはクライアントとどのような契約を結ぶのでしょうか。
一般的に、フリーのエンジニアが案件を受ける際は「業務委託契約」と呼ばれる契約形態をとります。この名称はいわば通称であり、正確には「請負契約」となります。これは名称通り、クライアントから何らかの製品や商品の開発を依頼され、それを納品することによって報酬を得る形態のことです。
案件を受ける際には、具体的な要求と、それに伴う報酬、納期などをお互いの合意の下で取り決め、業務委託契約書を締結することが案件受注になります。これは、飲食店でメニューを注文し、注文通りのメニューが届き、品質に問題がなければ代金を支払うのとよく似ています。この契約形態で注意しなければいけないのは、請負契約はあくまで成果物に対して報酬が支払われるため、その過程や取り組み方について、クライアントから制限を受ける必要はないということです。
たとえば、請負契約の下でクライアントが自社への出勤、ほかの社員と同様の勤務時間を要求してきたとしても、契約上それを受ける義務はありません。もちろん、製品の開発上必要な場合にそういったことをすることもありますが、それはあくまで開発を請け負ったエンジニアの権利になります。
この点がクライアントとのトラブルの原因になるため、不当な要求を受けた時は契約を理由にはっきりと断れるようにしておきましょう。